米・中古住宅販売件数から為替を読み取り攻略しよう

米・中古住宅販売件数の特徴について

米・中古住宅販売件数の特徴について

中古住宅販売件数とは全米不動産業者協会(NAR)が毎月発表する、米国で販売された集合住宅を含んだ中古住宅の内、所有権移転が完了した販売件数をいう。最近は、サブプライムローン問題との絡みもあって、より重要度が増したとも言える指標です。

また、中古住宅販売件数が新築住宅販売件数より注目されている理由として、新築住宅販売件数より中古住宅販売件数の方が販売件数が多いことが挙げられます。そのため、景気変動に対する先行性が比較的高いと言われており、住宅指標の先行指数として注目されているのです。

さらに、中古住宅販売件数は個人の景気見通しが反映されると共に、消費やリフォーム等の関連需要にも繋がるとの見方が強く、景気動向の先行指数としても注目しておかなければなりません。

なお、所得状況やローン金利動向などに影響を受けやすい中古住宅販売件数は、特に金利上昇期には将来的なローン金利上昇を見込んだ駆け込み需要が増加することもあるため、注意しておく必要があるでしょう。

中古住宅販売件数が発表される時期と、為替に与える影響

中古住宅販売件数が発表される時期と、為替に与える影響

中古住宅販売件数は、新築住宅販売件数、住宅着工件数と並ぶ住宅指標で、毎月、米商務省統計局が集計し、月末24日以降に発表している経済指標です。

中古住宅販売件数が為替に与える影響としては、1戸あたりの金額が大きい住宅の販売件数が伸びれば、景気が回復もしくは良くなっているとの判断がされるため、通貨が買われやすくなります。

また、中古住宅販売件数は、季節的な影響を受けやすい指標です。景気がよければ販売件数が多く、景気が悪ければ販売件数が少なくなるという傾向があるのも特徴です。過去数カ月間の数字が悪ければ先行きに不安視され、逆に数字がよければ、先行きがいいと判断されることから通貨買いに走る投資家が増えようになります。

住宅の場合は、衣類や日用品などとは異なり、1戸あたりの金額が数百万円~数千万円と高額なため、その分経済への影響も大きくなるというわけです。

なぜ米国では新築住宅販売より中古物件の方が人気あるのか

なぜ米国では新築住宅販売より中古物件の方が人気あるのか

そもそも、素朴な疑問として”家を購入するのになぜ中古住宅が多いのか”という疑問点がある。実際、米国の中古住宅販売件数は新築住宅販売件数の約6倍もの差があり、その数が米国の中古住宅の人気を物語っています。

米国では成人すると就職して独立、結婚すれば仕事場に近く賑やかな場所に住みたがる傾向があり、仕事によって州から州への移動することもあるでしょう。さらに、子供が生まれるとよい学校区を求めて郊外の大きな家に移り、子供が巣立てば管理が楽な都心のマンションやタウンハウスに移るなど、5年から7年のサイクルで家を住み替えるからそれだけ物件が出回るサイクルとなっているわけです。

つまり、米国ではライフステージのステップアップに合わせて中古住宅を住み替えるライフスタイルが定着しているということ。雇用統計のページでも開設している通り、終身雇用という概念があまりない米国ならではのライフスタイルと言ってもいいでしょう。

また、住宅開発会社が新築住宅建設を手控えていることも中古物件人気が増えている理由として挙げられます。これは、もともと新築マンションや一戸建て住宅として売り出した物件も、景気の低迷期で新物件が売れ残るといった事態になったため、新築物件を賃貸として貸し出すしか手段がなくなったことが影響しているのです。

米・中古住宅販売件数の注意点

米・中古住宅販売件数の注意点

注意点としては、新築住宅販売件数が契約書への署名ベースでカウントしているのに対し、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースでの集計であるが故に、新築住宅販売件数に遅効してしまうという点があります。

また、中古住宅販売件数が為替に与える影響でも少し触れたとおり、季節や天候の影響を受けやすく、予測が難しいため、予想外の数値が発表された時にマーケットに大きな影響を及ぼすことが多々あります。その影響を受けて前月比との比較から経済動向を判断するのが難しいため、アナリストの事前予想からどれだけ違うかが為替変動のポイントとなります。

例えば、どんなに良い指標が出ても、事前予測と同程度ならば”好材料出尽くしたことから来るドル売り”、事前予測より発表数値が下がっていれば、”失望からくるドル売り”という値動きとなり、逆にどんなに悪い指標が出ても、事前予測と同程度ならば”悪材料出尽くしたことから来るドル買い”、事前予測より発表数値が上がっていれば”思ったより悪くないと判断の元でドル買い”という値動きをします。

相場は、先々の景況感を織り込みながら推移しますので、どのような経済指標も市場の事前予想から、どれだけ上がったり下がったりするかが、発表時の値動きのポイントとなることに注意しましょう。

特に、金利上昇期にはローン金利上昇を見込んだ駆け込み需要が増加し、金利低下時期にはローン金利下落を予測した購入手控えムードが発生します。事前予想よりも大きく結果がぶれる傾向があることにも注意が必要です。

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