GDP(国内総生産)を覚えて投資に活用しよう

GDP(国内総生産)について正しく学ぼう

GDP(国内総生産)について正しく学ぼう

GDP(国内総生産)とは、GDPを発表する国で1年間に新しく生みだされた生産物やサービスの金額の総和のことを指し、その国の経済の力の目安として投資家に注目されている指標です。これを分かりやすく説明すると、”GDP発表国内で働いて稼いだ利益のトータル”という意味になります。

つまり、GDPが大きいということは、国中で物やサービスがたくさん作られたということで、それだけ国の商売が繁盛して多くのお金が動いているいう判断が可能ということ。多くのお金が動く状況というのは景気がいいと判断できる材料となるわけですね。

それでは、もっと分かりやすくお客さんがパンを購入するまでの過程を例に挙げて見てみましょう。

 
卸売業者が小麦粉工場から小麦粉を1ドルで購入する。
(小麦粉工場は1ドルの利益額を得る ⇒ 1ドルのGDPが発生)

食料品店が卸売業者から小麦粉を2ドルで購入する。
(卸売業者は小麦粉工場から購入した原価1ドルの差し引き、1ドルの利益額を得る ⇒ 1ドルのGDPが発生)

パン屋が小麦粉を食料品店で3ドルで購入する。
(食料品店は卸売業者から購入した原価2ドルの差し引き、1ドルの利益額を得る ⇒ 1ドルのGDPが発生)

お客さんはパン屋からフランスパンを4ドルで購入する。
(パン屋は食料品店から購入した原価3ドルの差し引き、1ドルの利益額を得る ⇒ 1ドルのGDPが発生)

 

この様に、消費者がパンを一つ購入するまでには様々の企業で利益額が発生しています。これらを集計したものがGDPとなり、上記の例で言えば、小麦粉工場、卸売業者、食料品店、パン屋がそれぞれ得た1ドルづつの利益合計である4ドルが発生したGDPとなるわけです。

ちなみに、このGDPとはその国で働く人を対象に集計を行っており、国内で働いているのであれば国籍は問いません。例えば、米国で働く米国以外の国籍を持つ人が稼いだお金も米国のGDPとして計算されますし、それとは逆に米国籍の人が英国で仕事をしている場合は、米国のGDPとしては計算されず、英国のGDPとして計算されるようになります。

名目GDPと実質GDPについて解説

上記で行った解説でGDPがどういったものなのかは理解できた思いますが、景気を考えるには、”名目GDP”と”実質GDP”を理解しておく必要があります。

・名目GDP・・・生産量と価格変動込みのGDP
・実質GDP・・・価格変動がなかった場合のGDP

基本的に名目GDPと実質GDPは生産量と価格込みの数値か、価格変動がない場合の数値かという見方となります。言葉で説明しても分からないという方のために、例を挙げて名目GDPと実質GDPを見てみましょう。

名目GDP

 
去年はケーキを100万個を3ドルで販売したため、生産額300万ドルだったとします。
今年はケーキを120万個を4ドルで販売したため、生産額480万ドルでした。

 

この場合、単純に前年度に比べて180万ドル増加したのでGDPは1.6%増加したことになりますが、この単純に前年度の生産額と比較したものが名目GDPとなります。生産量と販売価格は異なりますが、単純に金額的にどれくらいの変化があったのかを表しているGDPです。

実質GDP

 
去年はケーキを100万個を3ドルで販売したため、生産額300万ドルだったとします。
今年はケーキを120万個を4ドルで販売したため、生産額480万ドルでした。
しかし、ケーキを120万個を去年と同じ価格の3ドルで販売した場合は、生産額は360万ドルです。

 

価格を変動させずに販売を行った場合を比較すると、去年より60万ドル増加したことになるため、GDPは1.2%増加したことになりますが、この価格を変動させずに販売を行った場合を比較したものが実質GDPです。名目GDPが生産量と販売価格という概念を持たずに計算しているのに対し、実質GDPは比較対象となる地点の物価で計算されます。

物価は常に変動しているため、物価変動前の状態と変動後の状態を比較するのは間違っている。実際の生産額を割り出すためには比較対象となる地点の物価で計算すべきだ。という考え方から算出した値が実質GDPということですね。

また、普段メディアや新聞などで耳にする”GDP”とは、価格変動前と比較した実質GDPを意味します。

GDP(国内総生産)の発表時期とトレードが活発化するタイミング

GDP(国内総生産)の発表時期とトレードが活発化するタイミング

GDPは注目度の高い指標ですが、毎月発表されているわけではなく四半期に一度発表されています。指標が発表される瞬間が為替が動く一番のタイミングで、予想と結果の幅が大きいほど為替も大きく動く傾向があるため、発表時は注意しておかなければなりません。

特に全ての通貨に影響を及ぼす可能性の高いとされる米国のGDPは全世界の投資家が注目しており、個人消費、設備投資、住宅投資、在庫投資、政府支出、純輸出で構成され、米国経済全体の景気の動きを知ることが可能です。

そこで投資家はGDP発表に合わせて為替動向を読み取る必要があるわけですが、基本的にGDP上昇はその国の景気上昇を示すため、その国の通貨は上昇すると判断することが多いです。なぜなら、そこに投資する機会が増えると考え、海外からの資金が流入してくると考えられ、通貨の上昇へと導かれるため。

しかし一方ではまったく別の動きをする場合も視野に入れておく必要があり、景気が上昇してGDPの成長率が高かった場合、経済が好調なため輸入が増加につながり、貿易収支の赤字が増加することになる懸念が考えられます。こうなると、国の信用を低下すると同時に通貨が売られてしまうというような事態も発生する可能性があるのです。

結論として、GDPは為替相場と相関性があると考えている投資家も少なくありませんが、場合によってはまったく逆の動きを見せることも頭にいれつつ相場分析を行うように心掛けましょう。

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