米国のFOMCは為替相場の一大イベント
FOMCは米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)が開催する委員会で、米国の金融政策の最高意思決定機関です。政策金利であるフェデラル・ファンド金利の誘導目標、景況判断や今後の政策方針等が決定されるところであり、金利変更は短期金利、為替レート、長期金利などに影響を及ぼすため多くの投資家が注目します。
政策金利は各国でも注目度の高い指標の一つですが、特に米国の場合は基軸通貨ということもあり世界中の投資家が注目すると同時に、マーケットに与える影響が大きくなるため目を離す事が出来ません。
なぜ各国の政策金利、その中でも特に米国の政策金利に投資家が注目しているかというと、答えは単純明快で、金利が変わるとお金の流れが一気に変わるからです。結局、雇用統計も「数値がよければ金利を上げるかもしれない」という推測のもとに通貨が上昇するため、最後は金利に行き着きます。よって、金利が直接変更される金融政策は別格として重要視されています。
FOMCの発表時期とトレードが活発化するタイミング
FOMCは原則として年8回、6週間毎の火曜日、もしくは火曜日・水曜日の2日間にわたり開催されています。その後、金利などの金融政策や金融政策を決めた理由を声明文として発表するわけですが、当然米国で開催されているため発表される時間帯は米国時間となります。
住んでいる地域によっては発表される時間帯が有利な時間帯ではない場合も考えられますが、雇用統計同様に発表を待ってトレードする人が世界中に存在します。つまり、それほど注目されている経済指標という事です。
また、トレードが最も活発化するのもFOMCの発表直後となります。FOMCは中央銀行の政策なため、雇用統計と比べると事前の予想は当たるという特徴がありますが、予想を反した結果が出た場合に大きくマーケットが動くため、バイナリーオプションを行う際はこのタイミングが一番取引が行い易いタイミングと言えるでしょう。
特に短期取引などを行う場合は非常に有利に取引を行う事が出来ます。金利政策の発表後など一方向に動きやすい傾向があるため、トレンド相場に添って順張りするというのが主流の取引手段です。
米国の金利が上がったらどうなるのか
米国の金利は 2008年12月に政策金利を0%~0.25%に引き下げて以来、さらなる金融緩和を実施する目的で、金利の操作という伝統的な金融政策ではなく、公開市場操作やFRBのバランスシートの資産規模を高水準に保つ等の非伝統的な政策手段に重点を置いてきました。
尚、2015年3月現在でも0%~0.25%という金利は続いているわけですが、物価がなかなか上昇しないことが懸念材料とされる以外は近年の景気実態を見ても、最も重要な指標とされる雇用統計や失業率は改善傾向が顕著しており、2015年中に利上げを示唆する発言が相次いでいます。
ここで覚えておく必要があるのが、”米国の金利が上がった場合米ドルがどうなるか”ということ。
基本的に金利が上がると、その国の企業や政府にお金を貸し付けた方がより多くの利子収入を得られるため、多くの投資家がその国に投資をします。仮に米国の金利が上がった場合、低金利の国の通貨を持つより米ドルを持つ方が有利だと考える市場参加者が徐々に増えるため、米国の通貨の需要が高まりドル高の傾向が強くなると言えるでしょう。
なぜ利上げや利下げが行われるのか
そもそもなぜ定期的に金利の見直しなどが行われ、各国の中央銀行は利上げや利下げを行うのでしょうか?それは、インフレーションやデフレーションを克服するためです。
インフレーション→物価が継続的に上がり、貨幣価値が下がっていく状態
デフレーション→物価が継続的に下がり、貨幣価値が上がっていく状態
例えば、物価が継続的に上がるインフレーションというのは、お金に比べて物の値段が上がってしまう状態で、物の需要の方が大きくなった時に起こる現象です。このインフレーションを抑えるためには、お金の価値を上げる必要があり、そのためにはお金の量を減らすのが一番効果的です。
では、どのようにお金の量を減らすかという問題。お金の量を減らすには、お金を借りるために必要となるコスト、つまり、金利を上げるのが一番効果的になります。なぜなら、金利が高くなればそれだけ多くの利子を支払う必要があるため、お金を借りる人が減り、世の中のお金の流通を減らすことができるためです。
逆に、物価が継続的に下がるデフレーションというのはインフレーションとは反対にお金が世の中に出回っていない状態なわけですから、より多くのお金を流通させるために金利の引き下げが行われる事になります。
米国の金利が変更されることで影響を受ける通貨
このページの最初でも解説しましたが、米ドルは基軸通貨ですので殆どの通貨に影響を及ぼすを考えて問題ありません。対米ドルはもちろん、米ドル絡みでない通貨の場合でも所持している通貨を売って米ドルの買いに走る投資家が多くいると考えられます。
そのため、直接米ドル絡みの通貨を取引していない場合でもFOMCには注目しておく必要があり、予想と大きく異る結果が出た場合や発表される声明文には気を付けておかなかければなりません。